ナノ表面分析システムでは、原子像観察が可能な高分解能原子間力顕微鏡(AFM)から大型試料観察や機械特性・電気特性等の様々な特性をナノスケールで計測可能な走査型プローブ顕微鏡(SPM)、更に広範囲なエリアの粗さ・形状を高速非破で計測可能な白色光干渉粗さ計等で材料表面の検査・評価を行うことができます。
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AFM(原子間力顕微鏡)とは、小さなプローブを使って試料表面の形状や粗さを3次元で計測できる顕微鏡です。真空環境でなくても原子像のような高分解能で計測できる特徴をもっています。測定が可能な環境が、大気中以外にも、液中、雰囲気中、真空中と大変幅広いのも同時に特徴です。
AFMの測定モードには下記のような種類が存在します。それぞれの測定目的で、最適な測定モードで使用が可能です。
[1]コンタクトAFMモード:
最も基本的なAFMモードです。プローブをサンプルに接触させた状態でスキャンをします。サンプルとAFMプローブ(カンチレバー)の先端のチップ間で摩擦力が発生するために、柔らかいサンプルを押しこんだり、傷をつけたりする可能性があります。そのために、原子像を測定する場合と摩擦を測定する場合を除き、大気中では、それほど使用されなくなりました。
[2]タッピングAFMモード:
その摩擦の問題を解決するために、開発されたAFMモードです。断続的にサンプル表面にAFM用プローブが接触をするように、プローブの共振周波数で加振しながら測定を行います。幅広いサンプルに対して非破壊で測定できるために、これまではもっとも標準的なモードとして採用されてきました。
[3]ノンコンタクトAFMモード:
完全非接触を目指したAFMモードです。大気中では、サンプル表面にフルイドレイヤがあるために、プローブが吸着する効果の影響をうけるために、引力圏内での力勾配を検出しながらスキャンするのが大変難しいために、実際に運用されるアプリケーションが限られてしまいます。
[4]ピークフォース・タッピングAFMモード:
最近開発された画期的AFMモードです。プローブとサンプル表面の触圧をリアルタイムで測定しフィードバックができます。測定パラメーターの設定もほとんど不要で、触圧の最低でコントロールでき、安定した測定が可能です。今後、主流になる測定モードとたくさんのユーザーの皆様に期待されています。
いずれの測定モードも、プローブが試料表面をスキャンした際に発生した変移量を、予め指定された元の値に戻すようにフィードバックをかける際のフィードバック量を検出するという測定方法に共通性があります。これによって、スタイラスプロファイラー等で問題になるサンプルへの触圧を小さく抑えることができます。
SPM(走査型プローブ顕微鏡)とは、同じAFM(原子間力顕微鏡)装置上で測定を可能にしている測定モードが他に豊富にあるために、それらの機能を総称として呼んでいる名前です。歴史的には、AFM(原子間力顕微鏡)の拡張機能として同じAFMのハードウエア上にアクセサリー、ソフトウエアの追加やプローブの変更等によって長年に亘り少しずつ異なる測定モードが増えてきました。現在ではその数が膨大になり、その都度個別の測定モードで呼びきれず、いずれもプローブ(Probe)を走査(Scan)して小さなものを拡大して観る(Microscope)という共通の動作原理に着目して、“Scanning Probe Microscope”、つまり“SPM(走査型プローブ顕微鏡)”と呼ばれるようになりました。これらによって、形状以外に豊富な種類の情報をナノスケールの分解能で測定できるようになりました そのSPMモードは数が多いために全てを紹介することは不可能ですが、一般に知られているものを簡単に紹介します。
[1]MFM(磁気力顕微鏡):
SPMモードの中でかなり早い段階でデータストレージ関係の企業で幅広く使用されたモードです。試料表面に磁気で記憶された情報を高分解能でイメージングすることができます。このSPMモードに使用されるプローブは、通常のプローブに磁化が可能な金属コートを施したものが使用されます。
[2]EFM(電気力顕微鏡):
このSPMモードは上記MFMとほぼ同じハードウエアで測定を行います。異なる点は、前者が磁気モーメントの力勾配を検出に利用するのに対して、このSPMモードは、サンプルに加えたバイアスによって検出される力勾配を利用しています。いずれにしても、ノンコンタクトモードの測定原理を利用しています。
[3]SPoM(表面電位顕微鏡):
このSPMモードは、EFMモードと誤解されますが、検出原理が全く異なります。SPMプローブにAC電圧、DC電圧を印加して、プローブとサンプル表面間で作用する力がゼロになるDC電圧を検出します。その電圧値が、表面電位と一致することになります。表面電位は検出する値として非常に小さいために、精度の高い位相検出を採用するのが基本になります。
[4]位相イメージング:
このモードもSPM機能なかで非常によく使用されているモードです。原子間顕微鏡の凹凸イメージと同時に検出で、サンプルの物性等の違いの分布を計測できるSPM機能です。
[5]SCM(キャパシタンス顕微鏡):
このSPMモードは、半導体のP/Nジャンクションを観察する目的に使用されます。 形状からでは判別できないものが観察できます。
主に半導体の不良解析に用いられるSPMモードです。
[6]SSRM (拡がり抵抗法顕微鏡):
このSPMモードは半導体のドーパント濃度を測定する目的で使用されます。半導体では不純物濃度を大変幅広く振ってデバイスを作るために、このSPMで測定する抵抗値も大変幅広く対応する必要があります。
[7]TUNA (トンネリング顕微鏡):
このSPMモードは半導体あるいは導電性の低い試料における導電性を計測します。 数十fAというレンジまで測定が行えます。
[8]C-AFM(コンダクティブ顕微鏡):
このモードは、TUNAに比較して導電性の高い試料に対応するものです。幅広い試料に対応します。
以上、ほんの一部のご紹介をしました。 これらによって、形状以外に豊富な種類の情報をナノスケールの分解能で測定できるようになりました。今後の材料表面の解析においては、なくてはならないツールと言えます。
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ブルカー・エイエックスエスは、ナノプローブテクノロジー第167委員会の企業会員です。
ナノプローブテクノロジー第167委員会とは日本学術振興会の設置する61の産学協力研究委員会の1つであり、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の基礎・応用技術の組織的発展を目標に活動しています。
167委員会のHPはこちら
http://www.npt167.jp/